がいに相つづいて、往々たがいに飛び越えて、疾走していた。時《タイム》は襲撃の譜を鳴らしていた。――エマニュエルは追い越されてしまった。
 フランス精力の歌手たる彼は、師オリヴィエの理想主義をかつて捨てなかった。彼の国民的感情はいかにも熱烈ではあったが、精神的偉大を崇拝する念と融《と》け合っていた。彼はフランスの勝利を詩の中で高唱していたが、それも実はフランスのうちに、現今ヨーロッパのもっとも高遠な思想を、勝利の神アテネを、暴力[#「暴力」に傍点]に復讐《ふくしゅう》する優勝者なる権利[#「権利」に傍点]を、信仰的に崇拝していたからである。――しかるに今や、暴力は権利の心中にさえ眼覚《めざ》めていて、その荒々しい裸体のまま飛び出していた。戦争好きな強健な新時代は、戦いを熱望していて、勝利を得ない前から征服者の心持になっていた。自分の筋肉、広い胸、享楽を渇望してる強壮な官能、平野の上を翔《かけ》る猛禽《もうきん》の翼、を誇っていた。戦って自分の爪牙《そうが》を試《ため》すことを待ち遠しがっていた。民族の壮挙、アルプス連山や海洋を乗り越える熱狂的飛行、アフリカの沙漠《さばく》を横断する叙事詩
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