ことをしたら、奴《やつ》らの新聞仲間の威嚇《いかく》に負けたぐあいになることが、あなたにはわかりませんか。」
「そんなことは構うものですか。」とクリストフは言った。
「では御勝手になさるがいいでしょう。あなたはまっ先に鎗玉《やりだま》にあげられますよ。」
支配人はクリストフの作品の下稽古を中止しないで、青年音楽家の作品を調べ始めた。一方は三幕のもので一方は二幕のものだった。同じ興行に二つとも出すことに決定した。クリストフは自分が庇護《ひご》してやった青年に会った。自分でまっ先に通知を与えてやりたかったのである。相手は永遠の感謝を誓ってもなお足りないほどだった。
もとよりクリストフは、支配人が彼の作に注意を傾倒するのを拒み得なかった。青年の作は演出法や上演法において多少犠牲にされた。クリストフはそれを少しも知らなかった。彼は青年の作の下稽古に少し立ち合わしてもらった。その作品をきわめて凡庸なものだと思った。そして二、三の注意を加えてみた。それがみな誤解された。彼はそれきり差し控えてもう干渉しなかった。また一方において支配人は、すぐに上演してもらいたければ少しの削除は余儀ないことを、新
前へ
次へ
全340ページ中233ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
豊島 与志雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング