でいった。大革命の曙《あけぼの》以来初めて、それらの密集してる人々は空のほうへ眼をあげて、空が開けるのを見たのだった……。――若いジャンナンは空中征服者らの仲間にはいりたいと言い出して、母親を驚き恐れさした。そんな危険な野心は捨ててくれとジャックリーヌは懇願した。捨てるようにと命令した。しかし彼は意志を曲げなかった。ジャックリーヌが自分の味方だと思ったクリストフも、慎重にするようにと少し忠告したばかりだった。彼はジョルジュがけっして自分の忠告に従わないことを信じていた。(彼自身ジョルジュの地位にあったらやはりそれに従わなかったであろう。)若々しい力は無活動を強《し》いらるると自分自身を破壊するほうへ向いてくるものであるから、その健全な尋常な働きを束縛することは、たといできてもなすべきことではない、と彼は考えていた。
ジャックリーヌは息子《むすこ》が自分の手から逃げ出すのを、あきらめることができなかった。ほんとうに愛を捨ててしまったといくら考えても、愛の幻なしには済ますことができなかった。彼女のあらゆる感情とあらゆる行ないは、みなその色に染められていた。世の多くの母親は、結婚において―
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