リオネロのうちでは、常に働いてる悪意のためにいっそう鋭くなっていた。人を害《そこな》いたい願望から来る明敏さを彼はもっていた。彼はクリストフをきらっていた。なぜだったろうか? いったい子供はなにゆえに、自分に何も悪いことをしない者をも気嫌《けぎら》いするのか? それは偶然なことが多い。ふとある人をきらってると思い始めただけで、それが習慣となってくる。人から説きさとさるればさとさるるほど、ますます強情になってゆく。初めきらってるふうをしているうちに、ついにはほんとうにきらうようになる。しかしまたある場合には、子供の精神の及ばないいっそう深い理由が存することもある。子供はそれを気づきだにしない……。ベレニー伯爵の息子《むすこ》は初めてクリストフに会ったときから、母が愛したことのあるその男にたいして敵意を感じた。グラチアがクリストフと結婚しようと思い始めたちょうどそのときから、彼は明確な本能の直覚力を得てきたかのようだった。それ以来彼はたえず二人を監視していた。クリストフがやって来るときには、いつも二人の間にいて客間を去りたがらなかった。あるいは二人がいっしょにいる室へ突然|闖入《ちんにゅう
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