》するように振る舞った。それのみならず、母が一人きりでいてクリストフのことを考えてるときには、そのそばにすわって様子を窺《うかが》っていた。彼女はその眼つきに当惑して、顔を赤めることさえあった。そして自分の心乱れを隠すために立ち上がるのだった。――彼は母の前で、クリストフの悪口を言うのを面白がった。彼女は黙るようにと願った。彼はしつこく言いつづけた。もし彼女から罰せられようとすると、病気になりかかって嚇《おど》かした。それは彼が幼少なときから用いて成功してる策略だった。ごく幼いころ彼はあるときしかられて、その意趣返しにふと思いついて、ひどい感冒にかかるため、着物をぬいで真裸のまま床《ゆか》の上に寝たことがあった。――あるとき、クリストフがグラチアの祝い日のためにみずから作った楽曲をもって来ると、子供はその楽譜を奪い取ってなくしてしまった。その引き裂かれた紙片がある木箱の中から出て来た。グラチアは我慢しかねて彼をきびしくしかった。すると彼は泣き叫びじだんだ踏み転《ころ》がり回った。そして神経の発作を起こした。グラチアは狼狽《ろうばい》して、彼を抱擁し懇願し、なんでも望みどおりにしてやると
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