疲労と苦心とのために、ふくらんで赤くなったのである。私の魂よ、私とともに苦しみ年老いてきたお前を、私はどんなにかいっそう愛してることだろう! お前の皺の一つ一つは、私にとっては過去が奏《かな》でる一つの音楽である。」……相並んで長い間の生を営んできた後、暗黒の平和の中に相並んで眠りに行く、見るも楽しい老人たち! 彼ら二人の様子を見るのは、クリストフにとっては慰安でもあればまた苦痛でもあった。おう、生は、そして死は、こんなだったらいかに美しいことであろう!
彼はつぎにグラチアに会ったとき、その訪問の話をせずにはいられなかった。彼はその訪問によって呼び起こされた考えを彼女に言いはしなかった。しかし彼女は彼のうちにその考えを読みとった。彼は話しながら心を他処《よそ》にしていた。眼をそらしていたし、ときどき口をつぐんだ。彼女は彼をうちながめ、微笑を浮かべていた。そして彼の心乱れは彼女にも伝わっていった。
その晩、彼女は自分の室に一人きりとなったとき、じっと夢想に沈んだ。彼女はクリストフの話をみずから繰り返してみた。しかし彼女がその話を通して見た面影は、秦皮《とねりこ》の木陰に居眠ってる老夫
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