は、昔のいろんな面影があざやかに残っていた。あたかも小川の中の光った小石のように、それらの面影はちらちらと見え透いていた。クリストフはやさしい同情で自分をながめてる彼女の眼の中に、それらの面影の一つが幾度も映ってくるのを見てとった。しかしオリヴィエという名前は一度も口に上らなかった。アルノー老人は細君にたいして、無器用な痛切な注意を配っていた。彼女が寒気あるいは暑気に中《あた》りはすまいかと心配していた。その色|褪《あ》せた親愛な顔を不安げな愛情で見守っていた。すると彼女は疲れた微笑で彼を安心させようとしていた。クリストフは感動してやや羨《うらや》ましげに二人を観察した……。いっしょに年を取ってゆく。自分の伴侶《はんりょ》のうちに老年の衰えまでも愛する。そしてこう考える。「眼のそばの、鼻の上の、お前のその小さな皺《しわ》を、私はよく知っている。それが刻まれるのを私は見てきた。いつそれができたかを私は知っている。お前のその憐《あわ》れな灰色の髪は、私とともに日に日に色を失ってきた、そして悲しいかな、多少は私のせいで色を失ってきたのだ! お前の貴《とうと》いその顔は、私ども二人を焦燥さした
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