ものではない。あるいはまた、それは爆発の時が来ない前に、血縁の者へ伝えられてしまうかもしれない。しかしこの成分こそ、宿命のように種族の上を翔《かけ》ってるものである。
グラチアもまた、古い家庭の世襲財産のうちでもっとも中途で分散しがたい、そういう混濁した遺産の重荷をもっていた。彼女は少なくともその遺産がどういうものであるかを知っていた。自分の弱点を知っていて、人を結びつけ人を船のように運び去る種族の魂の、支配者とはならないまでも、せめて水先案内者となることは――宿命を自分の道具となして、風に従ってあるいは張りあるいはたたむ帆のように、それを使いこなすことは、一つの大なる力である。グラチアは眼を閉じると覚えのある音色の不安な声を、一つならず自分のうちに聞きとるのだった。しかし彼女の健全な魂の中では、不調和な種々の声音もたがいに融《と》け合ってしまっていた。そして彼女のなごやかな理性に制せられて、一つの深い滑《なめ》らかな音楽となっていた。
不幸にも、われわれの血潮のもっともよきものを血縁の者に伝えることは、われわれの思いどおりになるものではない。
グラチアの二人の子供のうちで、女
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