フは友の美しい顔をしげしげと見守った。そしてそこに過去と未来との多くのものを読みとった。多年の間旅をしてあまり口をきかず多くながめて一人で暮らしてるうちに、観相の術を、長い時代をへてでき上がった豊富複雑な言語を、彼は習得したのだった。それは口に話される言語よりもはるかに複雑なものであって、種族がおのれを表現するのはその言語においてである……。ある顔だちの線とその口に上る言葉との間の不断の対照。たとえばある若い女の横顔は、さっぱりした輪郭をし、やや冷やかでバーン・ジョーンズ式で、悲壮味があり、あるひそかな熱情に、ある嫉妬《しっと》に、あるシェイクスピア風の苦悶《くもん》にさいなまれてるかのようである……。しかるに口をきくときには、ちっぽけな中流婦人であり、馬鹿げきった者であり、凡庸な嬌態《きょうたい》と利己心とを現わし、自分の肉体に印刻されてる恐ろしい力にたいしては、なんらの観念をももっていない。それでも、その情熱は、その暴慢な力は、彼女のうちにある。他日いかなる形でそれが現われるだろうか。辛辣《しんらつ》な利得心か夫婦間の嫉妬かりっぱな精力か、それとも病的な悪意なのか? だれにもわかる
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