を愛してきたこと、いろいろひどい目に会わされたあとの今日でもなお、クリストフにたいするのとは違った愛し方をしてること、それをみずから知っていた(クリストフへは打ち明けることを差し控えていたが)……。それはあまり誇りにはならない、心の秘密であり身体の秘密である。そして自分の親愛な人々に向かっては、自分自身にたいする甘い憐《あわ》れみの念とともにまた彼らにたいする尊敬の念から、人はそれを隠すものである……。クリストフはあまりに男性的だったから、それを察知することができなかった。しかしながら、自分をもっともよく愛してくれてる彼女が、いかに自分に執着してることが少ないかを――そして、人生においてはまったくだれをも当てにできないことを、ちらと感ぜさせらるることがよくあった。それでも彼の愛は変わらなかった。それでも彼はなんらの憂苦をも覚えなかった。グラチアの和気が彼の上にも広がっていた。彼はありのままを受けいれた。おう人生よ、汝《なんじ》が与え得ないものについてなんで汝を非難しようぞ。汝はそのままできわめて美しくきわめて神聖ではないか。汝の微笑を愛さねばならないのだ、ジョコンダよ……。
クリスト
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