かな様子をして他の事柄を話した。コレットはそういう遠慮のあらゆる理由を捜し回したが、ほんとうの理由には考え及ばなかった。二人にとって幸いなことには、彼女は席にじっとしてることができなかった。行ったり来たりし、室から出たりはいったりして、一時にいろんなことをやりながら家の中の万事を監督していた。そして彼女のいなくなった合い間に、クリストフとグラチアとは、子供だけしかそばにいないので、また無邪気な話を始めるのであった。二人は自分たちを結びつけてる感情のことはけっして話さなかった。日々の些細《ささい》な出来事を包まず打ち明け合った。グラチアは女らしい興味をもってクリストフの家庭内のことを尋ねた。彼の家の中では万事がうまくいっていなかった。彼はいつも家事女らと諍《いさか》いばかりしていたし、雇い人らからはたえず瞞《だま》され盗まれていた。彼女はそれを面白そうに笑いながら、この大坊っちゃんが実際的能力をあまりもたないのに母親らしい同情を寄せた。ある日、コレットがいつもより長く二人を焦《じ》れさしてからようやく立ち去ると、グラチアは溜《た》め息をついた。
「まああの女《ひと》は! 私大好きです……
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