「私がお父さんに似ていないと思われるんですか? でもあなたは先刻《さっき》……。では、お父さんが私を愛してくれなかったと思われるんでしょう? では、あなたは私を愛してくださらないんでしょう?」
「私が君を愛することが、君のために何になるんだい。」
「たいへん私のためになります。」
「どうして?」
「私があなたを愛してるからです。」
 彼の眼や口や顔だちなどは、一瞬間のうちに種々雑多な表情の色を浮かべていた。四月の日に春風に吹かれて野の上を飛ぶ雲の影に似ていた。クリストフは彼の顔を見彼の声を聞いて快い喜びを感じた。過去の心痛から洗い清めらるるような気がした。自分の悲しい経験や試練や苦悩、またオリヴィエのそれらのもの、すべてが消え失せてしまった。オリヴィエの生命から萌《も》え出たその若い芽生《めば》えのうちに、彼は真新しくよみがえった。
 二人は話し合った。ジョルジュはこの数か月前まではクリストフの音楽を少しも知らなかった。しかしクリストフがパリーに来てからは、その作品が演奏される音楽会に一度も欠かしたことはなかった。クリストフの作品を語るときには、生き生きした顔をし輝かしいにこやかな
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