いたが、そこの暖炉|棚《だな》の上にオリヴィエの写真を一つ見つけた。クリストフは何気なく彼の視線の方向をたどった。
「さあ、」と彼は言った、「元気を出して!」
 少年は言った。
「私はあの人の子供です。」
 クリストフははっと驚いた。席から立ち上がって、少年の両腕をとらえて引き寄せ、しっかりつかまえたまままた椅子《いす》に腰をおろした。二人の顔はほとんど触れ合った。そして彼は少年をじっと見守りながら繰り返した。
「君……君……。」
 突然彼は少年の頭を両手にかかえて、額や眼や頬《ほお》や鼻や髪に接吻《せっぷん》した。少年はその激しい仕打ちに驚きかついやがって、彼の両腕から抜け出そうとした。クリストフはするままにさせた。そして両手に顔を隠し、額を壁に押しあてて、しばらくじっとしていた。少年は室の隅《すみ》に逃げていた。クリストフは顔をあげた。その顔つきはもう落ち着いていた。彼はやさしい微笑《ほほえ》みを浮かべて少年をながめた。
「君はほんとうにびっくりしたろうね。」と彼は言った。「許してくれたまえ……。ねえ、それも私が彼を深く愛してたからだよ。」
 少年はまだ気が和らがないで黙っていた。
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