トフはアルノー夫人に助けられて、手厚い看護をした。そして二人は病気を阻止することができた。しかし精神上の病苦にたいしては、二人はまったく無力だった。彼の絶えざる悲しみから受ける有害な疲労と、その悲しみのもとから逃げ出したい欲求とを、二人はしだいに感じだした。
不幸は、不思議な寂寞《せきばく》のうちに当の人を陥《おとしい》れるものである。一般に人は不幸を本能的に嫌悪《けんお》する。あたかも不幸が伝染しはすまいかと恐れてるかのようである。かりに一歩譲っても、不幸は人に嫌気《いやけ》を起こさせる。人は不幸から逃げ出してしまう。苦しむのを許してやる者はきわめて少ない。ヨブの友人らの古い話といつも同じである。テマン人《びと》ユリパズは、ヨブの短慮を責める。シュヒ人《びと》ビルダデは、ヨブの不幸はその罪の罰であると主張する。ナアマ人《びと》ゾパルは、ヨブを僭越《せんえつ》であるとする。「時に[#「時に」に傍点]、ラムの[#「ラムの」に傍点]族《やから》ブジ人バラケルの子エリフ[#「ブジ人バラケルの子エリフ」に傍点]、大なる怒りを[#「大なる怒りを」に傍点]発《おこ》せり[#「せり」に傍点]、ヨブ
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