神の前におのれを正しとするによりて[#「ヨブ神の前におのれを正しとするによりて」に傍点]、彼はヨブに向かいて怒りを発せり[#「彼はヨブに向かいて怒りを発せり」に傍点]。」――真に悲しめる者は至って少ない。悲しんでると言われる者は多いけれど、ほんとうに悲しみに沈んでる者はあまりない。がオリヴィエはそのまれな一人だった。ある人間|嫌《ぎら》いの男が言ったように、「彼は虐待されるのを喜んでるがようである。こういう不幸な人間の役を演じたとてなんの利益もない。人から忌みきらわれるばかりである。」
 オリヴィエは自分の感じてることを、だれにも、もっとも親密な人々にさえ、話すことができなかった。それをうるさく思われることに気づいていた。親愛なるクリストフでさえも、そういう執拗《しつよう》なうるさい苦悶《くもん》には我慢しかねた。彼はそれを治癒《ちゆ》してやるには自分があまり拙劣だと知っていた。実を言えば、彼は寛大な心をもっており、またみずから苦しい試練に鍛えられてきたのではあるが、友の苦しみをほんとうに感ずることはできなかった。人間の性質はそれほど偏頗《へんぱ》なものである。善良で、情け深くて、怜悧
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