はいつもあまり食欲がなかった)――必要な用達《ようたし》に外へ出かけ、一日の用が済んで、四時ごろ居間に引っ込み、編み物と小猫《こねこ》とをかかえて、窓ぎわや暖炉のそばに落ち着くとき、彼女は非常にうれしかった。時とすると何かの口実を設けて、まったく外出しないこともあった。家に引きこもっているのが、ことに冬で雪の降ってるときには、うれしかった。彼女自身もごくきれいな繊細な弱々しい小猫にすぎなくて、寒気や風や泥や雨などが嫌《きら》いだった。商人が御用聞きに来るのをうっかり忘れるようなときには、昼食を求めに外出するよりも、食べないで家にいるほうが好ましかった。そういう場合には、一片のチョコレートや戸棚《とだな》の中の果物《くだもの》などをかじった。彼女はそれをアルノーへ言うのを差し控えていた。そういうことが彼女の怠惰だった。そして、日影の薄いその日々、また時とすると日の照り渡った麗わしい日々――(ひっそりとした薄暗い部屋のまわりには、戸外には、青空が輝いており、街路の物音が響いていた。それはちょうど、彼女の魂を取り巻いてる蜃気楼《しんきろう》のようだった。)――彼女は好きな片隅《かたすみ》に座
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