をしだいに磨《す》りへらしてゆき、やがて自分を打ち負かしてしまうだろうと思った……。狂いたった想像と心との奇怪な幻覚である。――しかも、彼らは心の底ではもっともよき部分で愛し合ってたことを、考えてみれば……。
 オリヴィエはその重荷に堪えかねて、もう戦おうともせず、わきに身を避けて、ジャックリーヌの魂を勝手な方向に進ましておいた。彼女は一人放任され、嚮導《きょうどう》者がなくなって、自分の自由さに眩惑《げんわく》した。彼女には反抗してぶつかってゆくべき主人が必要だった。それがない場合には造り出さなければならなかった。そして、彼女は自分の固定観念の捕虜《とりこ》となった。これまで彼女は、いかに苦しんだとは言え、オリヴィエと別れることをかつて頭に浮かべはしなかった。がこのときから彼女は、あらゆる絆《きずな》から脱したと思った。彼女は恋したかった。あまり遅れないうちに恋したかった。――(まだ若かったけれども、もう年老いてると自分では思っていたのである。)――彼女は恋した。空想的な痛烈な情熱を知った。その情熱こそ、なんでも出合い頭《がしら》のものに、ちょっと見た顔に、ある名声に、時とすると単な
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