守ることはできなかったのである。彼女は彼を忘れることはできた。しかし自分のせいで彼が苦しんでるという考えを堪えることはできなかった。彼女は胸さける思いをした。彼の腕の中に身を投げ出して言いたかった。
「ああ、オリヴィエ、オリヴィエ、私たちはなんということをしたのでしょう。私たちは狂人だわ、狂人だわ。もう苦しめ合うことはやめましょうね!」
もしそのとき、彼が帰って来たら……。
ちょうどそのとき、彼女は手紙の文章を見出した……万事終わった。――彼女はオリヴィエから実際欺かれたと思ったろうか? おそらく思ったろう。しかしそれだけならば構わない。裏切りは彼女にとっては、行為においてなら意志におけるほど重大ではなかった。ひそかに心を他の女に与えることよりも情婦をもつことのほうを、彼女はいっそう容易に愛する男に許し得たろう。それは道理《もっとも》なことであった。
「おかしなことだ!」とある人々は言うだろう――(けれどそれこそ、愛の裏切りが完成されたときにしかそれを苦しまない憐《あわ》れな者どもである……。心が忠実である間は、肉体の汚れなどは大したことではない。一度心が裏切った場合には、その他の
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