して弱くかつ拙劣だったので、いくら骨折ってもますます彼女の墜落を早めるばかりだった。彼は静平にしていようとつとめた。しかし彼女は無意識的な考慮をめぐらして、彼を軽蔑《けいべつ》すべき理由を得んがために、その静平から脱せさせんとし、乱暴な激しい卑しいことを言わせようとした。もし彼が怒れば、彼女は彼を軽蔑した。もし彼がそのあとできまり悪がって恥ずかしい様子をすれば、彼女はいっそう彼を軽蔑した。また彼がもし怒らなければ、怒ろうとしなければ――こんどは、彼女は彼を憎んだ。そしてもっともいけないのは、顔をつき合わせながら幾日も黙り込んでることだった。人を窒息させ狂乱させるような沈黙で、それに浸っているともっともやさしい者でさえも、ついには狂暴になってきて、害したり怒鳴ったり怒鳴らしたりしたい欲求をときどき覚えるものである。そういう沈黙では、まっ暗な沈黙では、愛もまったく分散してしまい、人はあたかも天体のように、各自に自分の軌道に従って、暗黒の中に没してゆく。……ジャックリーヌとオリヴィエとは、たがいに接近するためになす事柄までがすべて疎隔の原因となるまでに、立ち至ってしまった。彼らの生活は堪えが
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