ことばかり考えさせるようになった。実際、神経衰弱にたいする近代の療法くらいおかしなものはない。それは自我の一つの病気に代うるに、自我の他の病気たる自我肥大症をもってするのである。なぜその利己心へ出血療法を行なわないのであろうか? もしくは、多すぎる血をもっていない場合には、精神的な剛健な反対療法によって、なぜその血液を頭から心へもどらせることをしないのであろうか?
 ジャックリーヌは右の容態から脱した。肉体的には、前より強壮になり肥満し若返っていた――が精神的には、前よりいっそう病気になっていた。数か月の孤独な生活は、彼女をオリヴィエに結びつける思念のつながりを、最後のものまで断ち切ってしまった。オリヴィエのそばにとどまってる間は、いろんな弱点を有しながらも信念のうちに確固としてとどまってるその理想主義的な性格の威力を、彼女はなおこうむっていた。自分よりもしっかりしてる精神から隷属させられることに反抗し、自分を洞見《どうけん》して時とすると不本意ながらも自責の念を起こさせられるその眼つきに反抗して、彼女はいくら身をもがいても駄目《だめ》だった。けれども、偶然にもその男から離れると――そ
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