彼らのうちには、その本能がひどく衰微していた。彼らの放縦《ほうしょう》は主として頭脳的なものだった。文明の逸楽的な気のぬけた大|浴槽《よくそう》の中に浸り込む気持を、彼らは享楽していた。そのなまぬるい泥濘《でいねい》の浴場では、人間の精力、荒々しい生活力、原始的な動物性、その信仰や意志や熱情や義務の花などは、溶解してしまっていた。そういうゼラチンめいた思想の中に、ジャックリーヌの美しい身体は浴していた。オリヴィエはそれを妨げることができなかった。そのうえ彼自身も時代の病気にかかっていた。彼は愛する女の自由を拘束する権利が自分にあるとは思っていなかった。愛によってでなければ何物も得ようとは欲しなかった。そしてジャックリーヌは、自分の自由は自分の一つの権利であると思っていたので、オリヴィエの態度を別に感謝してもいなかった。
もっともいけないことには、彼女はその水陸|両棲《りょうせい》的な世界のうちに、あらゆる曖昧《あいまい》をきらう全き心をもってはいり込んでいた。彼女は一度信ずると、それに身を投げ出すのだった。熱烈で勇敢な彼女の小さな魂は、その自己主義の中においてさえ、がむしゃらに突進す
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