して理由なしに全身をあげて愛することをやめた女のほうは、なんとなし得るであろうか? 意欲するか? 幻を描くか! しかも、意欲するにはあまりに弱く、幻を描くにはあまりに真摯《しんし》である場合には……。
ジャックリーヌは寝床に肱《ひじ》をついて、やさしい憐《あわ》れみの念で子供をながめた。子供は何者であるか? たとい何者であろうとも、それは全部彼女ではなかった。それはまた「他」でもあった。そしてその「他」を、彼女はもう愛していなかったのである。憐れなる小さなものよ! いとしき小さなものよ! 死に失《う》せた過去に彼女を結びつけようとしてるその存在にたいして、彼女はいらだちの念を覚えた。そしてそのほうへかがみ込みながら、それを抱擁しまた抱擁した……。
現代の婦人の大なる不幸は、彼女らがあまりに自由であるとともにまた十分自由でないということである。もっと自由であったら、彼女らはいろんな束縛を求めて、そこに一種の愉悦と安寧《あんねい》とを見出すだろう。またさほど自由でなかったら、彼女らはいろんな束縛に忍従して、それを破り捨て得ないだろう。そして苦しむことも少なくなるだろう。しかしもっとも
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