!」
しかし二人は、それを失いかけてることをよく知っていた……。
ジャックリーヌはパリーへもどると、愛に醸《かも》し出された小さな新たな生命が、自分の身内に躍動するのを感じた。しかし愛はもう過ぎ去っていた。彼女のうちに重みを加えてくる重荷は、彼女をオリヴィエへ結びつけはしなかった。彼女はその重荷について、期待していた喜びを少しも感じなかった。彼女は不安げに自分の心にたずねてみた。以前苦しんでいたころ彼女は、子供ができたら自分は幸福になるだろうかと、しばしば考えたことがあった。そして今や子供はできた。しかし幸福はやって来なかった。自分の肉の中に根をおろしてるその人間植物が、領分の血を吸って成長してゆくのを感じて、彼女は恐怖の念を覚えた。その未知の存在から一身を所有され吸い取られ、ぼんやりした眼つきで、耳を澄まし思いに沈みながら、幾日もじっとしていた。漠然《ばくぜん》とした甘い眠ったい気がかりな響きだった。そしてはまたはっとして、そのぼんやりした状態から我に返った――汗にぬれ、身体がおののき、反抗の気がむらむらと起こった。自分をとらえてる自然の網に逆らって身をもがいた。生きたかった、自
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