ったくそして永久に彼を愛しやめるかもしれないらしかった……。ああ、その「自我」こそは悪魔にでもいってしまうがよい! 少しは「他」を考えるがよい!……
 けれどもクリストフは、きびしい眼で彼女を見てはいなかった。平素はあれほどいらだちやすい彼だったが、今は大天使のような我慢強さで彼女の言葉を聞いていた。彼は彼女を批判すまいと心にきめていた。円光のごときもので、幼時の敬虔《けいけん》な思い出で、彼女を包んでおいた。そしてあくまでも彼女のうちに、小さなミンナの面影を求めようとした。それを彼女のある身振りのうちに見出せないではなかった。彼女の声音のある響きは、彼の心を動かす反響を喚《よ》び起こした。彼はそれらのもののなかに浸り込みながら、口をつぐみ、彼女の言葉には耳を貸さず、聴《き》いてるようなふうを装い、たえずやさしい敬意を示してやった。しかし気を一つに集めるのは困難だった。彼女はあまりに騒々しかった。彼女は昔のミンナの声を聞く邪魔となった。ついに彼は少し疲れて立ち上がった。
「可憐《かれん》なるミンナよ! お前がここにいることを、喚《わめ》きたてて僕を退屈させるこの美しいでっぷりした女のな
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