かに、お前がいることを、皆は僕に信じさせたがるだろう。しかし僕はそうでないことを知っている。さあ出かけよう、ミンナよ。こんな人たちになんの用があろうぞ。」
彼は明日また来ると約束して、辞し去った。その夜出発するのだと言ったら、汽車の時間まで放されなかったろう。夜のなかに踏み込むとすぐに彼は、馬車に出会う前の安らかな気持を取り返した。その晩の煩わしい会合の記憶は、海綿ででも拭《ぬぐ》い去られるように消えていった。もう何にも残らなかった。ライン河の声がすべてを浸した。彼はその岸の上を、自分が生まれた家のほうへ歩いていった。その家は訳なく見出せた。雨戸が閉まってすっかり眠っていた。クリストフは路のまん中に立ち止まった。もし戸をたたいたら、見覚えのある人の影が戸を開いてくれそうな気がした。家のまわりの河に近い牧場の中、昔夕方ゴットフリートと話しにやって来た場所へ、彼ははいり込んだ。そこに腰をおろした。過ぎ去った日々がよみがえってきた。いっしょに初恋の夢を味わったなつかしい少女が、生き返っていた。幼い愛情ややさしい涙や無限の希望などのうちに、二人はまたいっしょに生きた。そして彼は温和な微笑《ほ
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