いた。なぜなら、出版者は作品を広める方法を著者よりもよく知っているし、尊敬すべきではあるがしかし著者の真の利益には相反するいろんなくよくよした心づかいに、著者ほど拘泥《こうでい》しはしないからである。彼はクリストフを成功させようと考えていた。しかしそれは彼一流の仕方においてであって、クリストフが手も足も出せないで全身を任せてきたらという条件においてであった。自分の世話からそうたやすく脱せられるものではないということを、彼はクリストフに感ぜさせたかった。二人は条件付きの取引契約をした。もしクリストフが六か月の猶予期限内に金を払い得ないときには、作品はまったくヘヒトの所有に帰するということにした。クリストフが所要の金額の四分の一も集め得ないだろうということは、予知するにかたくはなかった。
それでもクリストフはがんばってみた。思い出の深いその部屋を捨てて、もっと安い住居へ移った。――いろんな品物を売り払った。それがどれも価のない物ばかりなのに、彼はたいへん驚いた。――金を借りた。モークの好意にすがった。がおり悪《あ》しくモークはそのころ、リューマチで家から出られなくて、ひどく不如意がちで病
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