―(罪がないとて、害が同じならどうにもならない)――彼女を圧倒する盲目な掟《おきて》の共犯者である。彼女はそのあとで、彼を恨んだことをみずからとがめた。なぜなら彼女は善良だったから。しかし彼女はあまりに苦しんでいた。そして、彼女に結びついて彼女を害してる男、みずからも苦しんではいるものの、やはり彼女の生を窒息さしてるその男、それを彼女は復讐《ふくしゅう》のためにさらに苦しませずにはいられなかった。その後彼女はますますがっかりしぬいて、自分で自分が厭《いや》になった。もし自分自身を救い出す方法が見出せなかったら、なおいっそう悪いことをするようになるかもしれない気がした。彼女は自身を救い出す方法を、周囲に手探りで捜し求めた。あたかもおぼれる者のようになんにでもすがりついた。多少とも自分の物であり自分の作品であり自分の存在でありさえすれば、その何物かに、なんらかの作品に、なんらかの存在に、心を寄せようと試みた。知的な仕事をまた始めようと努め、外国語を学び、論説や短編小説を書き始め、絵画や作曲を始めた……。でもすべて駄目だった。最初の日からもう落胆した。あまりにむずかしかった。それに、「書物や
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