――一八八九年だ。
――いや、一九〇九年だ。――とだれかが答えた。
彼女は自分が思ってたよりも二十年も年上なのにがっかりした。
「もうおしまいだ。それなのに私はほんとうに生きたこともなかった。この二十年間を私はどうしたのだろう? 自分の生涯《しょうがい》を私はどうしたのだろう?」
彼女は自分が四人[#「四人」に傍点]の娘となってる夢をみた。四人とも同じ室に別々の寝台に寝ていた。四人とも同じ身長であり同じ顔だった。けれども、一人は八歳で、一人は十五歳で、一人は二十歳で、一人は三十歳だった。伝染病が流行していた。三人はもう死んでいた。四番目の者は鏡を見ていた。恐怖に襲われていた。鏡の中の姿は、鼻が細り顔だちがやつれていた……彼女も死にかかってるのだった。――もうそれでおしまいになるのだ……。
――自分の生涯を私はどうしたのだろう?……
彼女は涙を浮かべながら眼を覚《さ》ました。けれど悪夢は夜が明けても消えなかった。悪夢は事実だった。彼女はその生涯《しょうがい》をどうしたのだろうか? だれがそれを奪い取ったのだろうか?……彼女はオリヴィエを恨みだした。オリヴィエこそは罪なき共犯者―
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