。心の貧しい坊主どもが、新教的な陰気な萎縮《いしゅく》した悲哀の考えを、その中に交えてしまったのです。厭《いや》な献身でなければりっぱな献身ではない、とでもいうように……。馬鹿なことです。もし献身が、一つの悲しみであって一つの喜びでないとすれば、それをなすには及びません。なすに当たらないことです。人が身をささげるのは、でたらめにではなくて、自分のためにです。身をささげることのうちにある幸福を、もしあなたが感じないとしたら、勝手になさるがいい。あなたは生きてるだけの価値もありません。」
 アルノー夫人は、クリストフの顔も見かねて、その言葉だけに耳を傾けていた。それから突然、彼女は立ち上がって言った。
「これでおいとまします。」
 そのとき彼は、彼女が何か打ち明け話に来てるのだと考えた。そして言った。
「ああごめんください。僕はあまり勝手でした、自分のことばかりしゃべって。も少しいてくださいませんか。」
 彼女は言った。
「いいえ、そうしてもおられません……ありがとうございますが……。」
 彼女は帰っていった。
 二人はそれからしばらく会わなかった。彼女はもう生きてるしるしだに見せなかった
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