女は考えた。彼女は自分にとっては呼吸しがたいその大気のなかで、窒息しかけていた。そして自己保存の本能に駆られて、身を守るために攻勢を取った。彼女はまだオリヴィエを愛してはいたが、自分に敵対する彼の信念をば、粉微塵《こなみじん》にしてやろうとつとめた。皮肉や逸楽のあらゆる武器を用いた。欲望や細々《こまごま》した心労の葛《かずら》で彼をからめた。彼女は彼を自分の一反映としてしまいたがっていた……自分の反映、その自分自身は、もう何を欲してるのかもみずからわからず、なんであるのかもみずからわからなかったのである! 彼女はオリヴィエが少しも成功しないのを恥ずかしい気がした。成功しないのが間違いであるか至当であるか、そんなことはもう彼女には問題でなかった。落伍《らくご》者と才能者とを区別するものは結局成功のいかんであると、信ずるようになっていた。オリヴィエはそういう疑惑が自分の上にのしかかるのを感じて、もっともよき力を失った。それでも彼は他の多くの者と同じく、できるだけは戦った。男の知的な利己心に対抗して、男の弱点や失意の上に、男が生命の疲弊と自己の卑怯《ひきょう》とを覆《おお》い隠す名目にしてる
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