その常識の上に、女の利己的な本能が自分の地歩を定めてる、あの不平等な戦いにおいて、多くの人々が、大半は無益に終わりながらも、奮闘してきたしまた奮闘しつづけるのである。――しかしとにかく、ジャックリーヌとオリヴィエとは大多数の闘者よりはすぐれていた。それらの多数の人々は、自分の怠惰や虚栄心や愛などから同時に引きずられて、自分の永遠の魂を否定するようになっているが、オリヴィエはかつて自分の理想に裏切りはしなかった。もし裏切ったら、ジャックリーヌから軽蔑《けいべつ》されたであろう。しかし盲目的にもジャックリーヌは、同時に自分の力でもあるオリヴィエの力を、二人にとっての護衛たるオリヴィエの力を、懸命に破壊しようとしていた。そして本能的な策略によって、その力が立脚してる友情を滅ぼさんとしていた。
二人が遺産相続をしてからは、クリストフはその若夫婦のもとでは勝手が悪かった。ジャックリーヌは世俗的軽薄さややや平凡な実際的精神などを気取っていたが、クリストフと話をするときにはことにそれを意地悪くも誇張したので、しだいに思う壺《つぼ》にはまってきた。クリストフはときどき反抗しては、誤解を招くようなひど
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