Aその逆上せる不毛な世界にたいして、その利己主義の戦いにたいして、また、自分こそ世界の理性だと自惚《うぬぼ》れながら実はその悪い夢にすぎない選良者、野心家、虚栄者、などにたいして、ある嫌厭《けんえん》の情を覚えたのだった。そして、温良と信仰と献身との純な炎に黙々と燃えてる、各民族のうちの無数の素朴《そぼく》な魂の人たち――世界の心とも言うべき人たち――のほうへ彼の愛はすべて向いていった。
「そうだ、私はあなたたちを知っている。私はついにあなたたちにめぐりあった。あなたたちは私と同じ血であり、私と同胞である。私は放蕩《ほうとう》息子のようにあなたたちのもとを去って、通りがかりの人影について行った。けれどまたもどって来た。私を迎えてほしい。私たちは死者も生者も皆一体である。私がどこへ行こうと、あなたたちはいつも私といっしょにいる。私を負《おぶ》ってくれたお母《かあ》さん、私は今あなたを自分のうちに担《にな》っている。それからあなたがた、ゴットフリート、シュルツ、ザビーネ、アントアネットあなたがたも皆私のうちにいる。あなたたちは私の富である。私たちはいっしょに歩こう。私はもうあなたたちを離れ
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