Bほんとに悪戯《いたずら》っ児《らこ》だこと!……そうだ、もうそれにきまっている。床板がきしった。扉《とびら》の向こうにいるのだ。けれど鍵《かぎ》がない。鍵! 彼女は引き出しの中のたくさんの鍵のうちから、大急ぎでそれを捜そうとする。これかしら、こちらかしら……いや、これではない……ああとうとう見つかった!……だが錠前の中に差し込めない。手が震えてる。彼女はあせる。急がなければならない。なぜ? それは彼女にもわからない。ただ急がなければならないことだけわかってる。急がなければ間に合わないだろう。扉の向こうにクリストフの息が聞こえてる……。ああこの鍵が!……ついに扉が開く。うれしい叫び声。彼だ。彼は彼女の首に抱きつく……。ああこの、悪戯《いたずら》な、よい、かわいい児!……

 彼女は眼を開いた。彼がすぐ前にそこに立っていた。
 先ほどから彼は、変わりはてた彼女をながめていた。痩《や》せはてかつ脹《は》れぼったいその顔、諦《あきら》めの微笑をさらに痛ましくなしてるその無言の苦悩、それから、静けさ、周囲の寂寞《せきばく》さ……。彼は心を刺し通される心地がした……。
 彼女は彼を見た。別に驚き
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