ノたいしては、いじらしい愛着の念をいだいていた。敷布の、顔に近いところには、クリストフから送ってきた最近の写真を針で留めていた。またクリストフの新しい手紙を枕の下に置いていた。彼女はりっぱに片付けて細かなところまできれいにしておくのが好きだった。室の中がすっかり整っていないと気持が悪かった。彼女は一日のいろんな時刻を示してくれる戸外のかすかな物音に興味をもっていた。もう長い前からそれを聞きなれていたのである。彼女の一生はその狭い場所の中で過ごされたのだ……。彼女はよく大事なクリストフのことを考えていた。今自分のそばに彼がいたらと彼女はどんなに望んでいたろう! けれども彼が今自分のそばにいないということをも、彼女はもうあきらめていた。天で彼に会えると信じていた。眼をつぶりさえすればもう彼の姿が浮かんできた。彼女はうつらうつらと過去の思い出のなかに日々を過ごした……。
 彼女はライン河畔の昔の家にいるところを思い浮かべた……。ある祝日……ある美《うる》わしい夏の日、窓は開いていた。白い大道の上に太陽の光が輝いていた。小鳥のさえずる声が聞こえていた。メルキオルと祖父とが扉《とびら》の前に腰を
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