トいたかを、感ぜさせられた……。彼は息を凝らしながら歩いていった。自分の家が眼にはいったときには、叫びの声を押え止めるために、立ち止まって口に手をあてなければならなかった。そこに住んでる人は、彼から一人残されてる人は、今どういう状態にあるだろうか?……彼は息をついて、ほとんど駆けるようにして戸口まで行った。戸は半ば開いていた。押しあけて中にはいると、だれの姿も見えなかった……木の古い階段が一足ごとにきしった。彼は上の階へ上がった。家じゅうに人がいないかと思われた。母の室の扉《とびら》は閉《し》まっていた。
クリストフは胸を躍《おど》らせながら、扉の把手《とって》に手をかけた。そして開くだけの力もなかった……。
ルイザは一人ぽっちで床についていて、もうこれが最後だと感じていた。他の二人の息子《むすこ》のうち、商人のロドルフはハンブルグに移っていたし、も一人のエルンストはアメリカへ行って消息不明になっていた。彼女の世話をしてくれる者と言っては、ただ隣の女が一人いるきりで、その女が日に二度ずつやって来ては、ルイザの用をしてくれ、しばらく居残っていて、それからまた自分の仕事をしに帰ってい
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