ェら、当惑そうな様子で立ち止まりもしないで通り過ぎた。それに反して、幾年となく口もきき合わなかった人たちが、突然接近し合っていた。ある夕方、オリヴィエはクリストフを窓ぎわに呼んで、黙って下の庭をさし示した。そこには、エルスベルゼ兄弟がシャブラン少佐と話していた。
クリストフは、人々の精神の中に起こった革命に驚くだけの余裕がなかった。彼は自分のことでいっぱいになっていた。彼は心が転倒して、自分でどうにも押え得なかった。クリストフよりいっそう心乱れるはずのオリヴィエのほうが、いっそう落ち着いていた。オリヴィエ一人だけが感染を受けていないらしかった。近く起こるべき戦争にたいする期待と、予想せずにはいられない国内の分裂にたいする恐れとに、彼はすっかり気圧《けお》されてはいたけれど、早晩戦いを始めようとしてる二つの相反する信念が、共に偉大なものであることを知っていた。そしてまた、人類の進歩のための経験場となるのはフランスの役目であること、すべて新しい観念が花を開くためには、血で注がれなければならないこと、などをも知っていた。が彼自身としては、その白兵戦に加わることを拒んでいた。この文明の格闘の
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