zの力強い熱狂と戦争の息吹《いぶ》きとを、民衆のうちに伝播《でんぱ》してる精神的伝染病に、自分も感染してるのが感ぜられた。その伝染病は、クリストフの周囲のすべての人々に、またクリストフ自身にも、働きかけていた。彼らはもうたがいに口をきかなかった。別々に離れていた。
しかし、長くそういう不確定な状態のままであることはできなかった。行動の風が不決断な人々を、否でも応でもいずれかの一派に投げ込んだ。そして、最後|通牒《つうちょう》の前日だと思われたある日――両国において行動の全弾力が緊張して殺害の用意をしてるある日、すべての人々が心を決してるのにクリストフは気づいた。相反するあらゆる党派の人々が、今まで憎み蔑視《べっし》していた力のまわりに、フランスを代表してる力のまわりに、本能的に集まっていた。耽美《たんび》家らも、腐敗芸術の大家らも、その放逸な作品のうちの所々に、愛国的信念を発表していた。ユダヤ人らも父祖が住んでいた神聖な土地を防御しようと語っていた。軍旗の名を聞いただけで、臆病《おくびょう》者も眼に涙を浮かべた。そして皆が真面目《まじめ》だった。皆が感染していた。アンドレ・エルスベル
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