Bいずれの国においても善良な人々は、平和に暮らすことしか求めない。ことにドイツの善良な人々は、穏和であり懇篤であって、すべての人と仲よくしたがっており、他国人を攻撃するよりもむしろ、他国人を賞賛し模倣しがちである。しかし彼らはその意見を求めらるることもなく、また意見を述べるほど大胆でもない。世間的活動の雄々しい習慣をもっていない人々は、かならずや世間的活動の玩具《がんぐ》となされてしまう。彼らはりっぱなしかも愚かな反響となって、新聞紙の荒々しい叫声や首領の挑発を響き返し、それをもってマルセイエーズ[#「マルセイエーズ」に傍点]やラインの守り[#「ラインの守り」に傍点]を作り出すのである。
 それはクリストフとオリヴィエとにとっては恐ろしい打撃だった。二人は愛し合うことに馴《な》れきっていたので、なぜ両国も同様に愛し合わないかが考えられなくなっていた。長く残存していて今突然|眼覚《めざ》めてきたその敵意の理由が、彼らにはわからなかったし、ことにクリストフにはわからなかった。クリストフはドイツ人として、自国民が打ち負かした民族を恨む理由を少しももたなかった。同国人のある者らのたまらない傲慢
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