B少佐はびっくりした眼つきで、その異様な客をながめた。若い娘が笑いながら彼を紹介した。
「ああ、君があの音楽家ですか。」と将校は言った。「ちょうどいい。われわれはお仲間です。」
彼はクリストフの手を握りしめた。二人は、クリストフはピアノで少佐はフルートでたがいに音楽を聞かせ合ってることを、隔てない皮肉な調子で話した。それでクリストフは辞し去ろうとした。しかし相手は彼を離さないで、際限もなく音楽談をやり始めた。それから突然話をやめて言った。
「僕のカノン([#ここから割り注]訳者注 大砲と追走曲と両様の意味あり[#ここで割り注終わり])を見に来ませんか。」
クリストフは、フランスの大砲に関する彼の意見がなんの面白いことがあるものかと思いながらも、彼のあとについて行った。ところが少佐は得意げに、音楽上のカノン――追走曲を示した。それは一種の曲芸の楽曲であって、終わりから読むこともできれば、表と裏と両面から二重奏することもできるのだった。少佐は昔理工科学校の学生であったころから、音楽にたいする趣味を常にもちつづけていた。しかし音楽のうちでもことにその難問題を好んでいた。彼にとって音楽はり
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