スいするその純潔な私心なき愛や、自己忘却や、美しきものにたいする奉仕などによって、彼にあの親愛なるシュルツ老人を思い起こさした。そして彼はシュルツ老人の思い出のために、彼らを愛した。

 クリストフは、異なった民族の善良な人々の間に精神的国境を設くることの愚かさを見出すと同時に、同一民族の善良な人々の異なった思想の間に国境を設くることの愚かさをも見てとった。そして彼のおかげで、しかも彼が求めたことではなかったが、もっともたがいに理解しがたいと思われた二人、牧師コルネイユとヴァトレー氏とは、たがいに知り合いになった。
 クリストフはその二人から書物を借りていた。そしてオリヴィエがいやがったほどの無遠慮さで、彼はその書物をまた一方のほうに貸していた。コルネイユ師はそれを別段不快ともしなかった。彼は人の魂にたいする直覚力をもっていた。そして若い隣人クリストフの魂中に、みずから知らずに宗教的なものがあることを、それとなく読みとっていた。ヴァトレー氏から借り出されたクロポトキンの一冊は、種々の理由から三人ともに好きな書物であって、それが接近の初めとなった。ある日偶然にも三人はクリストフのもとで落
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