オて笑っていた。彼はそれに気も止めなかった。人の嘲《あざけ》りなどは平気でただ上達したい一心でやりつづけた。それでいつもあるとおりに、そのへまな根気強さはやがて人々の同情をひいた。見物の一人がいろいろ助言してくれた。彼はいつもの乱暴さに似ず、子供のようにおとなしく耳を傾けた。神経を押えつけて手を震わせまいとした。眉根《まゆね》を寄せて堅くなった。汗は両の頬《ほお》に流れた。一言も口をきかなかった。しかしときどき、癇癪《かんしゃく》を起こして飛び上がった。それからまた打ち始めた。二時間もつづけた。二時間後に的に中《あた》った。その思うままにならぬ身体を制御しようとしてる意力ほど、人の心をひくものはなかった。それは人に敬意を起こさした。初めに笑ってた人々も、ある者は立去ったが、ある者はしだいに口をつぐんでしまい、見物をやめることができかねた。クリストフが立ち去るときには、皆親しく挨拶《あいさつ》をした。
 クリストフが家に帰ってみると、親切なモークが心配して彼を待っていた。モークは喧嘩《けんか》のことを聞いて駆けつけて来たのだった。喧嘩の原因を知りたがっていた。クリストフはオリヴィエをとが
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