sくことを控えた。ああいう浮薄な女どもとはもう関係すまいと決心していた。それは彼が女|嫌《ぎら》いだったからではなかった。かえって女をたいへん好きだった。労働者や雇員や公吏など、すべて働いてる年若い女どもが、朝いつも多少遅れがちに、まだよく眼が覚《さ》めていない様子で、工場や事務所へ急いでゆくのを見ると、彼はやさしい好感を起こした。女がその意識をことごとくそなえてるのは、活動しているとき、自分自身で生存し自分のパンと独立とを得ようと努力してるときばかりだと、彼には思えた。そしてそういうときばかり女は、そのまったくの優美さを、動作の敏捷《びんしょう》なしなやかさを、あらゆる官能の覚醒《かくせい》を、生命と意志との完全さを、そなえてるもののように彼には思えた。彼は怠惰な享楽的な女をきらった。それは不健全な空想に浸って消化と退屈とを事としてる満腹した動物のような気がした。オリヴィエはそれに反して、ただ美しくて周囲の空気を香《かお》らせんがためにのみ生きてるような、女の無為[#「無為」に傍点]を、その花のような魅力を、非常に好んでいた。彼はより多く芸術家的であり、クリストフはより多く人間的だっ
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