a[クの親切に感動して、やさしく両手をとりながら言った。
「実に不幸なことだ……実に不幸なことだ、あなたがユダヤ人であるのは!」
オリヴィエはそれがあたかも自分のことででもあるかのように、ぎくりとして真赤《まっか》になった。非常に当惑して、友が相手に与えた不快を打ち消そうとつとめた。
モークは寂しい皮肉の様子で微笑《ほほえ》み、落ち着いて答えた。
「人間であるのはさらに大きな不幸です。」
クリストフはそれを単なる思いつきとしか見なかった。しかしその言葉のうちにこもっている悲観思想は、彼が想像も及ばないほど深いものだった。オリヴィエは精緻《せいち》な感受性によって、それを直覚し得た。人に知られてるモークの下には、まったく異なった、そして多くの点においては全然反対でさえある、他のモークが存在していた。彼の表面の性質は、真の性質にたいする長い戦いから生じたものだった。単純らしく見えるこの男は、曲がりくねった精神をもっていた。自制していない場合には、いつも簡単な事物をも複雑にしたがり、もっとも真実な感情にも気取った皮肉の性質をもたせたがった。謙譲でときとするとあまりに卑下してる観があるこ
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