ャ出していた。その隠れたる磁力を感じてるがようだった。オリヴィエの友人らが、各自に孤立して自分自分の仕事をしている間で、彼は一種の連繋《れんけい》の役目をなしていた。彼はあちらこちら行き来していた。そのために、彼らも彼も気づかないうちに、常に一つの思潮が皆の間にでき上がっていた。
 その男をオリヴィエがクリストフへ近づかせようとしたとき、クリストフは初め断わった。彼はイスラエルの民族との過去の経験に飽き飽きしていた。オリヴィエは笑いながら、ぜひその男に会えと説きたて、フランスを知らないと同様にユダヤ人をもよく知ってはいないのだと言った。でクリストフは承諾した。しかしタデー・モークを初めて見ると、彼は顔を渋めた。モークは外見上、あまりにもユダヤ人的だった。ユダヤ人ぎらいの者が描き出すとおりのユダヤ型、背の低い頭の禿《は》げた無格好な身体、すっきりしない鼻、大きな眼鏡の後ろから斜視《やぶにらみ》する大きな眼、荒いまっ黒なもじゃもじゃした髯《ひげ》に埋まってる顔、毛深い手、長い腕、短い曲がった足、まったくシリアの小バール神であった。しかし彼のうちには深い温情の現われがあってクリストフはそれに
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