lをも恐れていいわけだ、僕は聖書《バイブル》に酔わされてるのだから。」とクリストフは言った。「聖書《バイブル》は獅子《しし》の精髄なんだ。それを常食としてる者こそ強健な心の人だ。福音書も旧約書の配剤がなければ、味のない不健全な料理にすぎない。聖書《バイブル》は生きんことを欲する民衆の骨格なのだ。戦わなければいけない、憎まなければいけない。」
「僕は憎悪《ぞうお》を憎む。」とオリヴィエは言った。
「ただ君に憎悪の念さえあればいいんだが。」とクリストフは言った。
「君の言うとおり、僕には憎む力さえないのだ。しかたがない。敵のほうの理由をも見ないではいられないのだ。僕はシャルダンの言葉をみずから繰り返している、温和だ、温和だ! と。」
「まるで小羊だね。」とクリストフは言った。「しかし否でも応でも僕は、君に溝《みぞ》を飛び越えさしてみせる、無理やりに君を連れ出してみせる。」
果たして彼は、オリヴィエの事件を引き受けて、オリヴィエのために戦いだした。しかし最初のうちはあまり都合よくはいかなかった。彼は第一歩からもういらだって、友を弁護しながらかえってその不利を招いていた。あとで彼はそれに気
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