言うべきかかる神秘な愛情の発作に、今や駆られるようになった。晩に、中庭の上の窓にもたれて、夜の神秘な響きに……遠く聞けば可憐《かれん》と思える隣家の歌声に、モーツァルトの曲を無心でひいてる小娘のピアノに……じっと耳を傾けながら、彼は考えた。
「僕の愛する見知らない皆の人たちよ! 生活のために少しもしぼまず、不可能だと知りながら大事を夢み、敵の世界と闘《たたか》ってる人たちよ――僕は君たちが幸福を得んことを希望する――幸福であることは実にいいことだ!……おう友たる人たちよ、僕は君たちがそこにいるのを知って、両手を差し出しているのだ。……しかしわれわれの間には石の壁がある。僕はその一石一石をすりへらしている。しかし同時に僕自身もすりへらされる。われわれは決していっしょになれないのであろうか? 他の壁が、死が、間にそびえないうちに、僕は君たちのもとに達するであろうか?……いや、僕はたとい生涯《しょうがい》孤独であっても構わないのだ。君たちのために働き、君たちのためにいいことをなし、君たちが僕を、やがて、死後に、多少なりと愛してくれさえするならば……。」
 かくして回復期のクリストフは、二人の
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