いっしょにいると、いちばんルイザの近くにいるような気がした。時とすると、芸術家としての苦悶《くもん》を少し打ち明けることもあった。彼女はそういう知的な悲しみには多少の皮肉を示しながらも、やさしい憐《あわ》れみを寄せてくれた。それがまた母親を思い出させて、彼にはうれしかった。
 彼は彼女の打ち明け話を引き出そうとつとめた。しかし彼女は彼ほど打ち解けなかった。彼は冗談に、結婚するつもりはないかと尋ねてみた。彼女はいつもの冷笑的な諦《あきら》めの調子で答えた。――「そんなことは召使の身分には許されていない。事がめんどうになるばかりである。それにまた、いい相手を選ばなければならない。それが容易なことではない。男というものはきわめて性質《たち》が悪い。金をもってると言い寄ってきて、食いつぶしてしまう。そのあとでは放り出す。まわりにそういう例はたくさん見てきた。そんな目に会いたくはない。」――彼女はかつて結婚に失敗したことがあるのを話さなかった。彼女の約束の男は、彼女が稼《かせ》ぎ高をすっかり家の者らに与えてるのを見ると、彼女を捨ててしまったのだった。――クリストフは、同じ建物に住んでるある家族の
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