だった。そういう小娘の顔つきの下にこそ、無関心な平和に包まれてる喜びや笑いが、見て取られるものである。それらの不品行な娘たち、それらの悪戯《いたずら》な女工たちこそ、古代の彫像やラファエロの描いた女などに見えるような、今は見られない清朗な気分を、おそらくは最も多分に反映している。それは彼女らの生涯《しょうがい》中の一瞬にすぎないし、快楽の最初の眼覚《めざ》めにすぎなくて、凋落《ちょうらく》はほど近い。しかし彼女らは少なくとも、美《うる》わしい時を生きたのである。
クリストフは楽しんで彼女をながめた。そのやさしい顔つきが彼の心を喜ばした。彼は欲求なしに享楽し得た。そしてそこに、喜びや力や慰安を見出した――ほとんど貞節をさえ見出した。彼女も――言うまでもなく――彼から見られてることをすぐに気づいていた。そして二人の間には、知らず知らずのうちに、一種の磁気の流れができてきた。ほとんどすべての音楽会で、たいてい同じ場所で顔を合わしたので、間もなくたがいの趣味をも知り合った。ある楽節になると、意味ありげな眼つきをかわした。彼女はとくにある楽句を好む時には、唇《くちびる》をなめるかのように軽く舌
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