と同化してしまった。時とすると、それらの一人がそれと気づいて、演奏のつづくかぎり、両者の間にひそやかな同感の情が結ばれることもあった。そういう同感の情は、心身の奥底まで沁《し》みとおるものではあるが、一度音楽会が終わって、魂と魂とを結合する交流が絶えると、もはや何もあとに残らないものである。それは、音楽を愛する人々が、ことに年若くて最も自分を投げ出し得る人々が、よく知っている精神状態である。音楽の本質はまさしく愛であって、他人のうちにそれを味わう時にしか完全には味わわれない。そして人は音楽会において、群衆のうちに、自分一人ではあまりに大きすぎる喜びを分かつべき、ある眼を、ある友を、本能的に捜し求める。
クリストフが、音楽の楽しみをよりよく味わうために選んだ、それら一時の友のうちに、彼をひきつける一つの顔があった。彼は音楽会ごとにそれを見かけた。小さな女工であって、音楽をなんらの理解なしにただ愛してるらしかった。かわいげのある横顔をしていて、軽くつき出た口とやさしい頤《あご》、それとほとんど同じ高さの小さなまっすぐな鼻、つり上がった細い眉《まゆ》、輝いてる眼、のんきなかわいい小娘の一人
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