ろ》にもっていなかった。それにまた、母へ手紙を出すのに二十五サンチームの切手を買わなければならなかった。年老いたルイザにとってはちょうど祝い日だった。クリストフはぜひとも手紙を出したかった。善良な彼女は息子《むすこ》の手紙を非常に頼りとしていて、それなしで済ますことができないほどだった。彼女は手紙を書くのが骨折れたけれども、この数週間は、彼よりもしばしば書き送っていた。寂しさに苦しんでいた。しかしクリストフのところへ、パリーまでやって来ることは決心しかねた。彼女はあまり気が小さく、その小さな町や教会堂や住居などに執着しすぎていて、旅を恐《こわ》がっていた。それにまた、たとい彼女が来ることを望んでも、クリストフには彼女を養うだけの金がなかった。彼は自分一人で毎日を過ごすだけの金ももたなかった。
 ある時、クリストフにとって非常にうれしかったのは、ロールヘンからの贈り物であった。ロールヘンというのは若い田舎《いなか》娘で、この娘のために彼はプロシャの兵士らと喧嘩《けんか》をしたのだった(第四巻反抗参照)。彼女は結婚する由を彼に知らしてきた。また彼の母の消息を告げてくれ、一|籠《かご》のりん
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